encore

ぽつんと生きて、ぽつんと消えてく。
ぽつんと生きて、
ぽつんと消えてく。

note

正直娘が産まれたときはブランドバッグを買った時の感覚に似ているなって思った。彼女に失礼だけど。
同じ病室で眠る彼女をみている時に思った。手に入れたらなんだこんなものかっていう感覚。彼女を手放しにかわいいとは思わなかった。「私の病室」に眠る「他人」という感覚だった。
夜眠れない、いつまでも泣き止まない、夜が来るのが怖い、という人並みの体験をして、でもまあこんなものかと私はどこかで割り切っていた。私は母親だから、彼女は得体の知れない他人だけど、とどこか義務的で冷静だった。
そう思ったのも彼女は私が何もしても反応しなかったから。新生児なんだから当たり前、だけどぼーっとしている彼女を見て赤の他人感があった。

彼女がかわいいなって思いはじめたのは3ヶ月頃、彼女は笑うようになった、声を上げて何かを訴えるようになった。彼女の瞳に光が宿ってキラリと光った。その光りは私を見つめる光だった。私の一方通行ではなく彼女が私に興味を持った。

生後6ヶ月、私と彼女は通じ合っているというのが分かるようになった。俗に言う「言葉はいらない」というやつ。彼女が私に頼っているのがよく分かった。彼女は私に甘えているのだ。何気ない声かけに彼女は照れたようにニンマリと笑う。
私の一方通行ではかわいさは見出せなかったが、心が通じれば通じるほど彼女がかわいくて愛しい存在へと膨らんでいく。いったいピークはいつなのだろう。

何を言いたいかと言うと、子育てを何度もしたくなる気持ちが分かった。大きくなるのを期待する反面、このままでいてほしい。歩けない、言葉もしゃべれない、ただ2人見つめあって笑って毎日を過ごす。今が一番、と感じてやまない。忘れたくない感覚だと心に刻む。
子供の頃初めて買ってもらったポケモンのゲーム。25年経っても新しいシリーズはやりたくなるし、シナリオが分かっていてももう一度やりたくなる。その感覚に似ていると思った。もちろん、これも彼女に失礼だけど。
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