昭和64年 「新元号は平成です」会場の記者たちが筆を走らせる。フラッシュが無数に焚かれる。何人かの記者が会場の入り口に向かう。はて、私は、不思議と平成を知っているような気がした。そんなはずもないのに。私はポケットから――何を取り出そうとした?携帯電話は肩からかかっているのに。私は。